あらためて感謝したい

  

  中学生だった時

  下校時間になって予期せず雨が降ってきた

  傘を用意していなかったわたしは

  足早に校舎の昇降口から出て行った


  すると、同じクラスの男の子(S.K君)がいたので

  「お先に」

  と言って通り過ぎようとしたところ

  「一緒に帰ろう」

  と差す傘に迎え入れてくれた


  彼は道すがら明らかにわたしの方に余分に傘を差してくれていた

  彼の肩が濡れるのを済まなく思って見ていた


  しばらく行くともう一人傘を差さずに帰っていく同級生(S.Y君)がいた

  彼は、ためらうことなくその同級生にも傘を差しだした

  わたしが真ん中になり三人で身を寄せ合ってゆっくりと国道脇の歩道を歩いて行った


  だが、雨はさらに強くなってくる

  彼は先ほどにも増して雨にさらされている

  家まではまだ遠かった

  彼らとわたしが帰りの道を分かつ所にさしかかった


  ちょうどその近くに物置小屋があり

  そこで雨宿りをすることになった

  しばらく話しをしながら過ごしたが

  一向に雨のやむ気配はない


  彼が、

  「俺たちはいいから齋藤君傘を差して行って」

  と言った

  「そんなわけにはいかないよ」

  「元々君の傘なんだから君が差して行ってよ」

  と答えると

  「どうせもう濡れてるからいいよ」

  と言う

  「ごめんね僕らがいたために濡れさせてしまって」

  と答えると

  「そんなこといいんだよ」

  「これだけ降ってれば傘を差してたって濡れてたよ」

  と言う

  「君たちが差して行った方が二人が助かるから」

  と答えると

  「二人より一人の方が濡れなくて済むから」

  「それに、齋藤君の方が遠いから」

  と言う


  わたしは彼の気持ちに心を打たれた

  「ごめんね、僕たちにかかわってなかったら、もう家に着いてた頃だよね」

  「やっぱり二人で差して行って」

  「僕は走って行くから」

  「ありがとう、ここまで助かったよ、それじゃお先に!」

  と言って

  わたしは雨の中へ駆け出して行った


  
  彼の幸せを祈りつつ

  あらためて感謝したい (^ゝ^)